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【秋葉原】お土産を買うならココ!ラジオ会館1F「ザ・アキバ」が間違いない

2000年代に全国を席巻したアキバ文化ブームから、早10年以上の月日が経過した2018年。「ニコニコ動画」で『初音ミク』を聴いて育った世代が成人式を済ませた平成の終わりに、かつてのオタクカルチャーがメインカルチャーに取って代わり始めた時代に、東京・秋葉原は「オタクの聖地」として不動の地位を築いている。

「コミックマーケット」のような都内で開催される大型イベントからの“参戦帰り”や、秋葉原が物語の舞台として登場するアニメやゲームの“聖地巡礼”目的で、日本中はおろか海外からも、この街を訪れる人の波は1年中絶えない。足を運んだ際には、地元の友人知人へ贈る、ちょっとした気軽な「アキバ土産」を買い求めたいと考えている方も多いことだろう。

そんな時には。

秋葉原のランドマーク的存在である、秋葉原駅・電気街口前に建つ商業ビル「秋葉原ラジオ会館(通称“ラジ館”)」の1Fにある、「ギフトショップ The AkiBa(ザ・アキバ)」に行けば間違いない。

「ザ・アキバ」は2014年7月20日(日)、同館の建て替えリニューアルと共にオープンしたお土産専門店。正面玄関を入ってすぐ左手側のスペースという、むちゃくちゃ分かりやすい、超絶好の場所に出店している。

運営企業の「野田林業株式会社」は、「アクアシティお台場」や「横浜ランドマークプラザ」、「ユニバーサル・シティウォーク大阪」や「キャナルシティ博多」といった、全国的に知名度の高い商業施設内にギフトショップを展開しており、自社オリジナル商品の開発にも積極的だ。

なお、「The AkiBa」のBは大文字である。

約20坪の店内には、同店オリジナル商品と限定販売品を含む、常時1000~1500点ものアイテムがぎっしりと...!

中でも、萌え系の美少女イラストやネットスラングをパッケージに用いた、“コテコテのアキバ土産やで!”といった趣の商品が豊富。こうした「会社の同僚や学校のクラスメイトなど複数の人に配る用のお土産」にぴったりな箱モノ菓子の取り扱い数では、地域No.1の品揃えを誇っている。

また、人気アニメやゲーム作品の商品も、お菓子、お酒、アパレル、雑貨などなど多種多彩で、こちらも秋葉原では同店でしか販売されていないというレアモノが多数。観光客でなくとも、「自分用のお土産」「特定の個人にプレゼントする用のお土産」にGETしたくなる1品がてんこ盛りッ!

『Fate(フェイト)』。

『STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)』。

『ポプテピピック』。

『ドラゴンボール』。

『干物妹!うまるちゃん』。

『ご注文はうさぎですか?』。

『ガールズ&パンツァー』。

『ゆるキャン△』。

『魔法少女まどか☆マギカ』。

『この素晴らしい世界に祝福を!』。

『ゴールデンカムイ』。

『ONE PIECE(ワンピース)』。

『名探偵コナン』。

『キューティーハニー』『花の慶次』。

『ポケットモンスター』。

『ちびまる子ちゃん』。

さらに、東京土産と外国人観光客向けの日本土産まで充実しており、「とりあえずココに来れば、絶対に何かしらのお土産は見つかる」という、あらゆるニーズに対応した商品ラインナップが頼もしい限りだ...!

2008年頃から「アキバ土産」をWeb上で取り上げてきた筆者にとっても、“観光地としての秋葉原”を意識した、同店のようなお土産専門店の出現は待望だった。

だが、古都や景勝地とは異なり「観光地」としては歴史が浅く、伝統的な郷土料理や地産品が存在するわけでもない秋葉原での店舗運営には、大変な努力や苦労が隠されているはず。

ただでさえ裏側を知る機会の少ない「お土産屋」、しかも「秋葉原のお土産専門店」の内幕について、「ザ・アキバ」副店長を任されている森竜弥さんに話を伺った。


▲森さんは三重県四日市市出身の34歳。筆者とは同学年という縁もあり、開店直後から交流させて頂いている。

――― まずは、「秋葉原ラジオ会館」に出店したキッカケを教えていただけますでしょうか。

森さん:建て替え中のリニューアル期間(※旧館はビル老朽化のため2011年8月より解体工事が開始され、約3年間の改築に入った)に、ラジ館の運営会社が新装オープン後のビルに入居するお土産屋のテナントを探しており、都内に複数の出店実績を持つ弊社に白羽の矢が立ったと。

――― ラジ館側からのアプローチだった。

森さん:と、聞いています。

――― 森さんが副店長職に就かれた経緯というのは。

森さん:私は「ザ・アキバ」のオープンにあたって中途入社しました。ちょうど前職を辞めて仕事を探していたタイミングで、スタッフ募集の求人情報を偶然目にしまして、「あのラジ館で働けるかも!?」と興奮が止まらず。

――― なにか、特別な思い入れが。

森さん:『STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)』の大大大ファンなのです。

――― ラジ館が、物語の主要な舞台として登場する作品ですね。

森さん:当時は岐阜県に住んでいたのですが、取り壊し直前のラジ館と『シュタインズ・ゲート』がコラボレーションしたイベントに参加するために、はるばる遠征してきたほどで。秋葉原を訪れたのもその時が初めてでした。

ビルの最上階壁面に人工衛星・・・のようなものが墜落したシーンが再現されていたり、感動したなあ。

――― 私も見に行きました。ラジ館の周囲は凄まじい人だかりで。

森さん:もしかすると、すれ違っていたかもしれませんね。

――― まさか、我々の出会いは機関の陰謀かッ!?

森さん:いいや、シュタンイズ・ゲートの選択だよ。

――― つまり要約すると、運命石の扉に導かれた、と。

森さん:はい。運命石の扉に導かれました。

――― 秋葉原という街でお土産専門店を運営していて、難しい点や苦労されている点はありますか。

森さん:「常に変動する売り場づくり」を考えなければならない、という点です。

――― 具体的には。

森さん:秋葉原に足を運ぶ方の中には、秋葉原という街そのものが好きで、それこそ毎日通っているような方も大勢います。そういった方達が、「コレは以前に見たな。コレは他のお店にもあるな」という商品ばかりが並んでいたら、即座に飽きられてしまう。

新商品の企画をアクティブに立てていくことはもちろん、同じ商品を継続して販売する場合でも、陳列棚を移動させてみようとか、ぱっと見た店内の風景が、いつも新鮮であるようにしています。

――― 難しい点でもあり、こだわりでもある。

森さん:というのも、実は「ザ・アキバ」の開店初日の売上は、惨憺たるものだったのです。

――― えっ!? ラジ館がリニューアルオープンした当日は、開館前から何千人もの入館待ちの行列ができていて、大盛況を博していたはずですが。

森さん:ですよね。にも関わらず、正面玄関を入って最初に目に飛び込んでくる店舗のはずのウチが、終日すっからかんで。

――― なんと。

森さん:ええ、もう、忘れもしない。開店初日にして「もっと工夫を凝らさないと、この店は潰れてしまう」という危機感を持ちました。

――― 意外というか、なんというか。

森さん:その反面、開店1年目の2014年~2015年は中国人観光客の“爆買い”の恩恵を受けられた年で、割と何を仕入れてもポンポン売れてしまう時期でもありました。ありがたいけれども、これではブームが終焉を迎えた時に、本来どんな商品がウケるのかが全く掴めないぞ、と。

――― 爆買いブームには、そんな側面も。

森さん:今でも探り探りの状態ではありますが、そうした経験を踏まえて、「秋葉原らしい独自性を持った店舗であれ」「“アキバ”らしく細部までこだわりまくれ」という意識を大事にしています。


▲商品1点1点に見本品が用意されており、展示ディスプレイも非常に綺麗なつくり。外箱だけでは分からない「実際の中身」が視覚的に伝わるため、購入時の安心感が違う...!

――― 外国人観光客の話題が出ましたが、開店から4年以上が経過した現在の客層は、日本人と外国人の割合でいうと、いかほどでしょう。

森さん:季節によって、平日か休日かによっても大きく変動しますが、大体の統計で6:4という感じです。

――― 英語と中国語に対応したスタッフも、開店時から在籍されているそうですね。

森さん:インバウンド消費に関しては、開店前から見込んで対策していました。ただ、想定以上に来店して頂けていて、てんてこ舞いになっているという。

――― 外国人の方には、どういった商品が人気なのですか。

森さん:あらかじめ目当ての商品が決まっていることが多いです。今日も先ほど、『東京喰種トーキョーグール』か『ポプテピピック』の商品は売っていますか?、と尋ねられて。

――― 「人気のお菓子はなに?」「有名なキャラクターはどれ?」ではなく、具体的な作品タイトルを提示される。

森さん:おそらく、秋葉原観光に訪れるような外国人の方は、すでに日本のアニメやゲームに慣れ親しんでいる方が大半なのだと思います。


▲英語と中国語バージョンの販促POP。アナログな手書き感が微笑ましい。

――― 「ザ・アキバ」オリジナルの商品も多数販売されていますが、どのように開発をおこなっているのですか。

森さん:店長が、系列の他店舗の商品にも企画段階から携わっている者でして、製造メーカーに直接交渉することがほとんどです。たとえば、日本各地の観光名所や高速道路のパーキングエリアで売れ筋の商品をチェックして、同様の商品をオリジナルで作ってもらったり。

――― なるほど。製造ロットが大きく、1店舗だけでは発注が厳しい場合でも、パッケージを変更して他店舗に振り分ける手段が取れる。

森さん:あとは、完全にイチから作り上げるパターンや、「松月堂布川」さんのように持ち込みのパターンもあります。

――― 自社での開発は、リスクも小さくないかと思いますが。

森さん:「何事もやってみなければ分からない」というスタンスで、毎回、試行錯誤を繰り返しながら商品化しています。都内のいたるところで見かける、有名な商品だらけの店内なんて、秋葉原のお店らしくなくて、つまらないでしょう。


▲山形県の老舗菓子店「松月堂布川」が製造を手掛けた、「ザ・アキバ」限定商品の「秋葉原マドレーヌ」。


▲同じく限定商品の「メイドマグネット」。小さな雑貨ひとつとっても、オリジナリティが光るッ...!

――― 森さんは個人的に秋葉原の街について、どんな印象を持っていますか。

森さん:こわい街だなと思います。

――― こわい街だな?

森さん:誘惑が多すぎて。

――― 納得です。

森さん:仕事場から徒歩数秒で、フィギュアにプラモデル、キャラクターグッズにトレーディングカード、その他にもホビー商品がわんさかと。

――― 目と鼻の先に。

森さん:オフの日でも、秋葉原のゲームセンターに「艦これアーケード」をプレイしに来たり。

――― いよっ、提督の鏡!

森さん:ウチで販売している商品にしても、自分がイイなと感じたものを発注しているので、当然、みずから買ってしまうんです。最近では「Fate/Grand Order」のグッズを特に。

――― いよっ、マスターの鏡!

森さん:結果、あっという間に懐が寂しくなるというね。

――― ふふ。でも「その作品を好きな人が選んだ商品を、その作品を好きな人が買っていく」という流れは健全に思えます。

森さん:自分の趣味に走りすぎてしまってはいけないので、慎重なセレクトを心掛けていますが、選んだ商品が“同士”の心に刺さればいいなあって。

――― 最後に、今後、お店でやりたいことや目標はありますか。

森さん:「コレが秋葉原土産の定番だよね!」と言われる、オリジナル商品を開発することです。ちょっと例えが違うかもしれませんが、「代表的な東京土産といえば?」と質問されて、「東京ばな奈」と答える人は多いはず。

――― 秋葉原名物となるお土産を。

森さん:秋葉原の色々なお店で取り扱ってもらえて、お店とお店の横の繋がりも生まれるような、街全体を盛り上げるのに一役買えるような、そんな商品を作ることが最大の目標です。

店内の1箇所1箇所に、確かな「人の想い」が詰まった「ザ・アキバ」は、今後も「誰かの想い」に応えるべく、訪れる人を差別なく迎え入れることだろう。

それは、世間一般では異物とされるマイノリティ文化でも受け入れてきた、すなわち「人の想い」を汲んでくれた、この街の在り方に、どこか似てはいまいか。

「ザ・アキバ」に行けば間違いない。

間違いなく誰にでも、思い出の1ページを描くためのペンをくれるから。

【店舗情報】

ギフトショップ The AkiBa(ザ・アキバ)
■住所:東京都千代田区外神田1-15-16 秋葉原ラジオ会館1F
■営業時間:10:00~20:00
■定休日:年中無休(※施設休館日を除く)
■公式Twitter:https://twitter.com/akibagiftshop