“オタクの聖地”こと秋葉原を象徴するカルチャーのひとつである「メイド喫茶(メイドカフェ)」は、いまや秋葉原を代表する体験型の観光コンテンツとして、日本人のみならず訪日外国人にも高い人気を博している。
2005年頃からのアキバ文化ブームをキッカケとした店舗数の急増とともに、独自のサービスを開発・提供するメイド喫茶が数多く誕生。一口に「メイド喫茶」といっても、料理に“おまじない”をかけてくれるエンターテインメント系や、街の喫茶店で過ごすような“やすらぎのひと時”に主眼を置いたクラシカル系など、そのコンセプトやスタイルは様々だ。
本記事では、そんな秋葉原におけるメイド喫茶文化を牽引し、アキバ民にも観光客にも愛されてきた老舗の名店を厳選して紹介する...!
目次
@ほぉ~むカフェ 秋葉原本店
“お屋敷で給仕するメイドと、そこに帰宅するご主人様・お嬢様”をコンセプトにする「@ほぉ~むカフェ」は、2004年8月創業。
2005年12月には同店発の音楽ユニット「完全メイド宣言」が、『萌え~』で「ユーキャン新語・流行語大賞」に選出されるなど、メイド喫茶文化を全国に発信し、エンターテインメント系メイド喫茶の礎を築いた人気店だ。
旗艦店である秋葉原本店は、ビルの3F~7Fの計5フロアに渡って展開されており、総席数205席、在籍メイド数は250名、という地域No.1の規模を誇る。
現在までの総来場者数は約500万人とのこと。
各フロアで提供されるサービスに違いはなく、所属するメイドさんと内装が異なるだけ。
また、全フロアにステージを内設しており、歌とダンスを披露するミニライブや、萌え萌えじゃんけん大会といったショーを毎日開催している。
そして、フード&ドリンクの全メニューに、もっと美味しくなるようにとメイドさんが愛情を込める、通称“愛込め”のおまじないが付くことも大きな特徴。
今でこそ一般に認知されている「萌え萌えきゅん!」のフレーズも、「@ほぉ~むカフェ」のパフォーマンスが元祖だ。
取材対応してくださったのは、プレミアムメイド(※特定のフロアに所属せずに全フロアを回る、メイドの代表的存在。タレント・モデル活動などもおこなう)の、かんなさん。
人気メニュー「ふりふりしゃかしゃか♪ みっくすじゅーちゅ(税別¥750-)」は。
「ふりふり♪しゃかしゃか♪ ふりふり♪しゃかしゃか♪」と、客と一緒にコールアンドレスポンスをしながらシェイカーを振ったのち、最後に両手でハートマークをつくって・・・
「おいしくなーれ!!萌え萌えきゅーーーーーん!!」。
定番メニュー「ぴぴよぴよぴよ♪ ひよこさんライス(税別¥900-)」は。
ケチャップで、リクエストした絵を描いてくれたのち、同じく両手でハートマークをつくって・・・
「おいしくなーれ!!萌え萌えきゅーーーーーん!!」。
・・・おいしくなった件ッッ!!!
他にも、メイドさんとの記念撮影(チェキ)や、勝てばオリジナルグッズがもらえるゲーム対戦、のようなアミューズメントメニューも提供しており、まるでテーマパークのよう。
初心者でも飽きさせない内容が満載で、老若男女を問わず幅広い層が安心して楽しめる、観光にもぴったりのメイド喫茶だ...!
なお、同ビルの2Fではグッズショップを営業しており、メイドさんのブロマイドをはじめとした各種グッズを販売している。
▲グッズショップ限定商品、デザインもカラーも萌え萌えな「萌えキュンポップコーン」。
▲秋葉原駅・電気街口から徒歩約4分。大きなピンクのリボンを付けた、カチューシャをモチーフにしたエントランスが目印だ。
【店舗情報】
@ほぉ~むカフェ 秋葉原本店
■住所:東京都千代田区外神田1-11-4 ミツワビル2F~7F
■入場料(3F~7Fカフェ):大人700円(※学生・シニア割引あり。小学生未満無料)
■営業時間(3F~7Fカフェ)
平日:11:00~22:00(L.O 21:20)
土日:10:00~22:00(L.O 21:20)
■営業時間(2Fグッズ販売)
平日:11:30~20:00
土日:9:30~20:00
■定休日:無休
■公式サイト:https://www.cafe-athome.com/
■公式Twitter:https://twitter.com/athome_cafe
■公式Facebook:https://www.facebook.com/at.homecafe.jp/
■公式Instagram:https://www.instagram.com/athome__cafe/
CURE MAID CAFE'(キュアメイドカフェ)
日本初の常設メイド喫茶として2001年3月にオープンしたのが、キャラクターグッズ事業を中心に手掛ける「タブリエ・マーケティング株式会社(コスパ・タブリエ・グループ)」が運営する「CURE MAID CAFE'(キュアメイドカフェ)」である。
“日本で一番最初にできたメイド喫茶”であり、同時にクラシカル系メイド喫茶の元祖でもある同店のコンセプトは“癒しの空間”。
ケチャップでのお絵描きやゲーム対戦といったサービスやパフォーマンスはおこなっておらず、落ち着いた雰囲気の中でこだわりの料理や紅茶が楽しめる、“本格的な喫茶店”なのが特徴だ。
2000年前後の秋葉原にはゆっくりと休憩ができるような飲食店が少なく、それならば自分たちで作ろうと思い立ったのが開店の経緯だそうで、メイドさんが頑張って働く姿や品のある給仕姿を見て“癒し”を感じてほしいとのこと。
休日は観光客で賑わう一方で、平日のランチタイムには近隣で働くサラリーマンやOLが日常的に訪れるなど、男女を問わず、地域の憩いの場としても愛されている。
紺と白を基調にした、クラシカルなロングメイド服に身を包んだメイドさんが出迎えてくれる店内は、全テーブル席で40席だ。
定番メニューの「オムライス(税別¥850-)」は、洋食店も顔負けの美味しさ...!
バターが香るチキンライスに、チーズ入りの半熟とろとろ玉子をかぶせて、仕上げにコク深いデミグラスソースをかけた一品。スプーンが止まらんッ!!
なお、ソースはデミグラスソースとホワイトソースの2種類から選べる。
オープン当初からの人気メニュー「チャンピオンカツカレー(税別¥900-)」には、石川県のソウルフード「金沢カレー」発祥の店として知られる「カレーのチャンピオン」本社から、カレールーを直接取り寄せて使用...!
どろりと粘度が高く、濃縮された旨味とスパイス感がクセになる超個性的なカレーライスに、三元豚のロースカツをトッピングした、ボリューム満点の一品だッ!!
聞けば「キュアメイドカフェ」創設メンバーに金沢市出身の方がおり、頼み込んで特別に提供が決定したのだとか...!
添えられている千切りキャベツは、合間の口直しに食べても、本場風にカレーライスと混ぜて食べてしまってもいい。
さらに、紅茶やフレーバーティーもレベルが高く、「日本紅茶協会(※国内唯一の紅茶関連業者団体)」から「おいしい紅茶の店」として認定を受けているほど...!
中でも注目が、季節やニーズにあわせて茶葉を調合しているという「オリジナルブレンドハーブティー(税別¥500-)」!
2020年の新作「キュア カーネリアン」は、宝石のような美しい色合いと輝きで、優しい香りと柔らかな味わいがリラックス効果抜群。心までキュアキュアにしてくれる...!
▲食器は全てお店のロゴがプリントされたオリジナル。レジ脇で販売もおこなっているので、お土産にぴったりだ。
▲オリジナルグッズ「キュアメイドカフェ はたらくつままれキーホルダー」も販売。
また、『ラブライブ!』『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』『冴えない彼女の育てかた』といった複数のTVアニメの作中に登場しており、各作品の聖地としても人気が高い。
加えて、様々なアニメやゲームとのコラボカフェも頻繁に開催しているため、訪れるたびに新たな楽しさに出会えることだろう。
元祖メイド喫茶、ここにありッ...!
▲秋葉原駅・電気街口から徒歩約10分、東京メトロ末広町駅からは徒歩約3分。1Fのカプセルトイ専門店「秋葉原ガチャポン会館」の看板が目印の、ビルの6Fに店を構えている。
▲同ビルには、キャラクターグッズ専門店「コスパ」「二次元コスパ」や、コスプレ専門店「コスパティオ」なども入居。
【店舗情報】
CURE MAID CAFE'(キュアメイドカフェ)
■住所:東京都千代田区外神田1-2-7 オノデン本館4F
■営業時間
月~土:11:00~20:00(フードL.O 19:00、ドリンクL.O 19:30)
日祝:11:00~19:00(フードL.O 18:00、ドリンクL.O 18:30)
■定休日:無休
■公式サイト:http://www.curemaid.jp/
■公式Twitter:https://twitter.com/curemaidcafe
HoneyHoney(ハニーハニー) 秋葉原店
横浜駅周辺エリアでは初のメイド喫茶として2006年3月に創業、2011年8月にオープンした大宮店に続き、2012年11月にオープンした「HoneyHoney(ハニーハニー) 秋葉原店」は、観光客や近隣で働くサラリーマンのみならず、コアなメイド喫茶マニアたちからも高い支持を得ている人気店だ。
同店は“美味しいお食事とお酒、明るく元気なメイド”をコンセプトにしており、フレンドリーな接客と、フードメニューを全て手作りで提供しているのが特徴。
また、「山崎」「カナディアンクラブ」「ジャックダニエル」といった有名銘柄を揃えたウイスキーをはじめ、日本酒、焼酎、ビール、ワイン、カクテルなどアルコールメニューも豊富なので、居酒屋代わりに飲み会での利用や、仕事帰りの一杯を楽しみに訪れるサラリーマンも少なくない。
さらに、Wi-Fiと電源コンセント、各種充電ケーブルまで完備しているため、オフィスを持たずに働くノマドワーカーにも好評。
カジュアルな雰囲気の店内は、カウンター席が6席、テーブル席が40席、の計46席だ。
人気メニューの「メイド生搾りサワー(税別¥749-)」は、メイドさんが目の前で、フレッシュフルーツを搾って仕上げてくれる。
フルーツはオレンジ、グレープフルーツ、レモンの3種類から選べるほか、ノンアルコールタイプの「メイド生搾りスカッシュ(税別¥599-)」もアリ...!
ギュギュっとやって。
じゃーんッ!! ぷはーッ!!
ケチャップで絵を描いてくれる、定番のお絵描きオムライス「Honeyオムライス(税別¥949-)」も用意されているが、気分を変えたい時にはコレ...!
ソース焼きそばに、半熟とろとろ玉子をかぶせた「Honeyオムソバ(税別¥949-)」!
カキカキ。
じゃーんッ!!
焼きそばーッ!!
全3種類のケーキはなんと、毎日店内で焼き上げているという自家製だ...!
中でも「ガトーショコラ(税別¥499-)」は、しっとり濃厚ながらも軽い口当たりで、専門店にも負けないクオリティの本格派!
ソロモンよ、私は帰ってきた!!
「秋葉原に通うご主人様・お嬢様は色々な趣味を持っている方が多いので、自分が知らない世界のお話を聞けるのが好きです。メイド喫茶に来たことが無い方でも、気軽に入れるお店ですので、皆様良かったら遊びに来てください」とは、店長の白雪さん。
普段使いもできる「HoneyHoney」は、エンターテインメント系とクラシカル系の“いいとこ取り”なメイド喫茶といえる...!
ちなみに、お店の公式愛称は“ハニハニ”だ。
▲秋葉原駅・電気街口から徒歩約7分、東京メトロ末広町駅からは徒歩約1分。ジャンク通り(※PC関連ショップなどが密集する裏通り)に建つ、ビルの2Fに店を構えている。
【店舗情報】
Home maid Cafe & Dinning HoneyHoney(ハニーハニー) 秋葉原店
■住所:東京都千代田区外神田3-7-12 イサミヤ第8ビル2F
■営業時間
平日:12:00~23:00(L.O 22:30)
土日祝:12:00~23:00(L.O 22:30)
■定休日:不定休
■公式サイト:http://www.honey2.jp/index.html
■公式Twitter:https://twitter.com/honey2_maid
■公式Instagram:https://www.instagram.com/honey2_maid/
Cafe Mai:lish(カフェ メイリッシュ)
“癒しとサプライズ”をコンセプトにする「Cafe Mai:lish(カフェ メイリッシュ)」は、2002年7月創業。
2003年3月にTV番組『ガイアの夜明け』で同店が取り上げられたことで、コアなファンだけが集う場所だったメイド喫茶が、秋葉原の名物として一般に認知されるキッカケを作ったともいえる、業界屈指の老舗店だ。
「アニメやゲームとのコラボイベントや、メイド喫茶同士での制服交換イベント、バニーWEEKやヤンキーDAYといったコスプレイベントなど、ほぼ毎週末、オリジナルのイベントを開催しております」と、店長のまほれさん。
2019年10月にリニューアルした店内は、カウンター席が10席、テーブル席が28席、の計38席。
また「メイリッシュ」は、秋葉原を舞台とするゲーム・TVアニメ『STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)』の聖地としても人気を博している。
主要キャラクターがアルバイトをしているという設定で、作中に登場するメイド喫茶「メイクイーン+ニャン2」は同店をモデルにしており、日本国内のみならず海外からも、“聖地巡礼”に訪れるファンが絶えない...!
▲店内で展示されているキャラクターパネルには、声優・桃井はるこさんの直筆サインが。
そのため、ケチャップでお絵描きをしてくれる「オムライス(税込¥1500-)」も・・・
ここでは「世界がヤバイ!!」の文字をリクエストして、作品内と同じシチュエーションを再現するのが定番ッ!!
ウヒョーウ!!世界がヤバイ!! キタ━━━(゚∀゚)━━━!!
▲特大ジョッキで供される、通常の3倍サイズのメロンソーダフロート「アキバジャイアントフロート(税込¥1500-)」もロングセラー商品...!
まほれさんは、「メイド喫茶は誰しもを温かく迎え入れてくれる場所で、好きなことに素直になれる場所。旦那様・お嬢様とささやかなコミュニケーションを取らせて頂きながら、居心地の良い雰囲気づくりを心掛けています。秋葉原にある第二のホーム(お家)になれるように」と語る。
2020年7月には18周年を迎えたが、オープン当時からの常連客も多いというから驚きだ。
なお、メイドさんを呼ぶ際は、テーブルに置かれたベルをチリンと鳴らすシステムである。
▲メニュー表には、手書きのメイド紹介欄も。
▲メイドさんとの記念撮影(チェキ)や、グッズ販売もおこなっている。
▲秋葉原駅・電気街口から徒歩約8分、東京メトロ末広町駅からは徒歩約2分。ビルのエントランスに飾られた、メイド服が目印だ。
【店舗情報】
Cafe Mai:lish(カフェ メイリッシュ)
■住所:東京都千代田区外神田3-6-2 FH協和スクエア2F
■営業時間
月~木・日:11:00~22:00
金土:11:00~29:00(※深夜営業22:00~29:00)
■定休日:年中無休
■公式サイト:http://www.mailish.jp/
■公式Twitter:https://twitter.com/cafemailish
私設図書館カフェ シャッツキステ
“メイドが営むオタクの遊び場”をコンセプトにする「私設図書館カフェ シャッツキステ」は、2006年3月創業。
同店は他のメイド喫茶とは一線を画すアートな世界観で、男性のみならず多くの女性ファンも獲得している人気店だ。
黒と白を基調にした、クラシカルなロングメイド服に身を包んだメイドさんが出迎えてくれる店内は、全テーブル席で25席。
板張りの床に木製家具、白壁を飾るアンティーク小物、そこに柔らかな自然光が射し込む温もりに満ちた空間で、まるで西洋の童話に登場する、森の中に佇む隠れ家のような。
なんと、木材の調達から施工に至るまで、ほぼ全ての内装作業を、メイドさんが自分たちでおこなったとのこと。
来店客が「ご主人様・お嬢様」ではなく「旅人さま」と呼ばれるのは、“扉を開けたらひょっこり異世界に繋がっていた物語”をイメージしているから。
利用料金は30分500円(税別)で、セイロンティーが飲み放題というシステムだ...!
▲セイロンティーは、ホットとアイスのどちらも選べる。
▲食器の下に敷かれたコースターまで、メイドさんが手編みしたもの!
また、自家製の焼き菓子や手作りの料理も提供しており、別途注文することが可能。
▲野菜たっぷりの具沢山スープが嬉しい「スープとハーブトーストのミニサラダ付きプレート(税別¥680-)」。
▲スープの内容は日替わりで、取材時はミネストローネだった。
▲旬の果物や新鮮な素材を使用した「本日のお菓子(税別¥500-)」は、店内のオーブンで毎日焼き上げている。
▲甘酒クリームを添えた、桜のスコーン。
そして「私設図書館」の名の通り、本棚には小説に漫画、絵本に同人誌、資料集に写真集にレシピ本などなど、秋葉原らしいマニアックな書籍を含め400冊以上が並ぶ。背表紙を眺めているだけでも飽きることがない...!
さらに、アニメやゲームとのコラボイベントをはじめ、ゲストを招いてのトークライブや、ボードゲーム大会のような参加型のイベントも定期的に開催(※現在休止中)している。
▲ハロウィンに合わせて開催したオリジナルイベント「Maid of the Dead」では・・・
▲ゾンビメイクを施したメイドさんが、トイレに入った人に、外からドアをドンドンドン!とかやっていたらしい。
▲アニメ監督と芸人が二次元を哲学する音声マガジン「月刊 熱量と文字数」の公開収録や、メイドさんと眼鏡について語り尽くす「眼鏡夜話」といったトークイベントの案内。
自分の好きなものに対して情熱を燃やし探究心を持ち続けるアキバ民たちが、各々のニッチな知識を共有・発信できる交流の場ともなっている「シャッツキステ」。
ドイツ語で「宝箱」を意味する店名には、面白い未知なる物が入っていそうな場所、大事な想い出をしまっておく場所、という2つの意味が込められているそうだ。
▲焼き菓子は持ち帰り販売もアリ...!
▲秋葉原駅・電気街口から徒歩約10分、東京メトロ末広町駅からは徒歩約2分。外壁がレンガ調のビルの1Fに店を構えている。
追記:2020年11月に閉店。
【店舗情報】
私設図書館カフェ シャッツキステ
■住所:東京都千代田区外神田6-5-11 長谷川ビル1F
■営業時間:12:00~22:00
■定休日:第一火曜日
■公式サイト:https://www.schatz-kiste.net/
■公式Twitter:https://twitter.com/schatz1