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【横須賀】店内はリトルアメリカ!BAR「CANTINA」でドブ板の思い出を【ネイビーバーガー】

本記事は、神奈川県横須賀市のご当地グルメ「YOKOSUKA NAVY BURGER(ヨコスカネイビーバーガー)」を提供している飲食店をレポートするシリーズ記事。

今回は、スカジャンの発祥地としても知られる名所「どぶ板通り商店街」に店を構える「RESTAURANT BAR CANTINA(カンティーナ)」!

同店はどぶ板通りで約40年、外国人向けのバーを経営するオーナーの川瀬勝利さんが、2006年4月29日(祝)にオープンしたレストランバー。

自身がロサンゼルス市ハリウッド地区で訪れたバーをモデルに、本場アメリカのスタイルをそのまま持ち込んだ店舗だという。

大音量でロックミュージックが鳴り響く店内は、まさに“リトルアメリカ”と形容したい、異国情緒あふれる空間。

赤と黄色を基調としたビビッドな配色、白黒チェック柄(市松模様)のタイル床、ビリヤードテーブルとダーツマシン、バドワイザーのネオンサイン、米軍各部隊のキャップ、ピンボール台のバックグラス、星条旗に州旗などなど、目に映る全てがアメリカンで、ここが日本であることを忘れてしまいそう...!

壁面には、訪れたお客さんが記念のメッセージやサインを書き込んで貼った、1ドル札も大量に残されている。

カウンター席が9席と、ソファテーブル席が2卓、ハイテーブル席が3卓の計25席だ。


▲ヨコスカネイビーバーガー¥1200-

じゃーんッ!! これが「カンティーナ」の「ヨコスカネイビーバーガー」!!

こんがりと褐色に焼き上げられた、張りと艶のある端正なバンズは、市内のベーカリーに特注しているというオリジナル。なんとコラーゲン入りだそうで、しっとりもちもちとした食感と、噛むほどに湧き出す甘味が特徴!

輪切りトマト、グリルドオニオン、フレッシュレタスの野菜3種類は、盛り付けのバランスも美しいッ...!

パティは直火焼きにすることで、余分な脂を落としながら香ばしく、ジューシーかつヘルシーに仕上げている。赤身肉本来の力強い旨味と食べ応えを感じさせつつも、ワイルド過ぎない印象なのは、女性でも親しみやすいよう、異なる部位の牛挽き肉を独自配分で混ぜ合わせて使用しているからだとか...!

ペロリと、イケちゃう美味さだぜーッ!!

ちなみに、同店のハンバーガーは計11種類のバリエーションで展開されており・・・

最大サイズの「タワーバーガー」は、お化けのようなデカ盛りだ。

また、1軒隣にある姉妹店「Country Music Bar George’s(ジョージズ)」でも、ほぼ同内容の「ヨコスカネイビーバーガー」を販売している。

こちらの店舗は、テキサス州の田舎町のバーをイメージしたというカントリーミュージックバーだ。

まるで西部劇に登場するウエスタン・サルーン(酒場)のような空間で、ウィスキーをショットグラスで流し込めば、荒野をさすらうカウボーイになった気分を味わえる...!?

第二次世界大戦後から米海軍を通じて、様々なアメリカ文化が現在進行形で広がっている横須賀にとって、ハンバーガーは歴史的に所縁の深い食べ物であり、「ヨコスカネイビーバーガー」は一介のご当地グルメの枠を超えた、地域文化を色濃く感じられるグルメブランドとして価値が高い。

特に米海軍横須賀基地(通称“ベース”)の米兵をメイン客層に据える、どぶ板通りの外国人向けバーは、真にリアルな“アメリカの声”が集う場所でもある。

「カンティーナ」店長を任されている三浦和昭さん、そして川瀬さんの両人に、どぶ板通りの現状や街への想いなどについて話を伺った。


▲三浦さんは横須賀生まれ横須賀育ちの30歳。愛称は“KAZU”さん。

――― まずは、「カンティーナ」のお店のコンセプトを教えていただけますでしょうか。

三浦さん:うーん、ブレブレなのです。ラフなところですかね。あはは。

――― わはは。

三浦さん:キャッシュオンデリバリーの明朗会計で、チャージも無いですし、お酒を飲みながらビリヤードやダーツで遊べたり、お客さんに気軽に楽しんでもらえるように心がけています。

――― 三浦さんが店長職に就かれた経緯というのは。

三浦さん:もともと私は「ジョージズ」のスタッフとして、オーナーのもとで働き始めました。学生時代に“駅前留学”的なものが流行っていまして、どうせならば仕事をしながら英語を覚えたいなと。

――― まさに地元に、最高の環境がありましたね。

三浦さん:でもスタッフの募集要項には、「英語が喋れなくても大丈夫!」と書いてあったんですよ。

――― ベースの米兵さんが相手のお店なのに、大丈夫なのでしょうか。

三浦さん:全然大丈夫じゃなかったです。だまされました。

――― ふふ。

三浦さん:まともに注文も取れないような状態からのスタートでしたが、コミュニケーションを図るうちに自然と身に付いていって。

――― 他のスタッフの皆さんも、英語を話せる方ばかりなのですか。

三浦さん:ウチを含めて系列7店舗、基本的にはスタッフ全員が喋れます。

――― すごい。「ジョージズ」以外の姉妹店というのは。

三浦さん:「ROCK CITY」「BUFFALO」「DRUM」「IRISH PUB STADIUM」「Dublin Dock’s Tavern」もオーナーの経営店で、全てどぶ板通りにあります。


▲同系列のライブハウスバー「ROCK CITY」では、「X JAPAN」加入前の故・HIDEさん(※横須賀市出身)がよく演奏していたとか。

――― 近年のどぶ板通りは観光地化も進んでいる印象ですが、現在の客層はどうでしょうか。

三浦さん:以前と変わらずベースの米兵さんと、地元の日本人の常連さんがメインですが、ご当地グルメを出すようになってからは、観光客の方も来てくれるようになりました。

――― 「ヨコスカネイビーバーガー」だけでなく、「よこすか海軍カレー」も提供されていますね。

三浦さん:休日のお昼は特に、観光客の人通りが増えましたから。逆に米兵さんは、夜間の外出規制が年々厳しくなっているため、明らかに客足が落ちてしまっています。


▲開店当初のフードはメキシコ料理が中心だったそう。現在もタコス、ブリトー、エンチラーダ、チミチャンガなどがメニューに名を連ねる。


▲自家製サルサを添えた「チキンケサディア(¥950-)」も代表的な人気商品。


▲たっぷりのチーズと鶏肉をトルティーヤで挟んで焼き上げた、お酒と相性抜群の一品だ!

三浦さん:加えてアメリカ人も、若者の酒離れといいますか、あまり飲食店で飲まなくなってきているようで。

――― 初耳です。

三浦さん:軍艦の乗組員のお客さんいわく、「船内で部下を誘っても出てこないんだよね」と。「せっかく陸地にいるのに、20代前半の子は部屋でゲームばかりやっているんだよね」と。

――― まさか。そんなエピソードは日本の専売特許のはず。

三浦さん:秋山さんとは同世代なので感覚が近いと思うのですが、私たちが子供の頃って、携帯ゲームなんてゲームボーイくらいしか無かったじゃないですか。

――― ですね。石板みたいなゴツい筐体で、『ポケットモンスター』の初代をプレイしました。

三浦さん:今はスマホが1台あれば簡単に遊べますし、世代の価値観の違いは共通しているのかもしれません。いっそ店内でゲーム大会をやれば、ウケるんじゃないかなとか考えちゃいます。

――― いいじゃないですか。日常的に日米対抗戦ができるなんて、楽しそうです。

三浦さん:『マリオカート』の飲酒運転で、みんな仲良くなろう!

――― なろう!

三浦さん:私は、誰もが“かしこまらなくていい”、どぶ板通りのこの雰囲気が好きなんです。せっかく日本人の方も足を運んでくれるようになったので、お店で楽しく飲みながら、外国人の方とお互いラフな気分で、交流の場にしてもらえたらなって。

――― どぶ板通りの外国人向けのバーは、どうしても、イチゲンの観光客には入りづらさがあるかと思います。

三浦さん:やはり言葉の壁の問題で、「日本人が集まるお店」と「外国人が集まるお店」に別れがちですが、ウチはスタッフが通訳で間に入れますし、ゆるーい感覚で入店してみてほしいですね。


▲川瀬さんは長崎県佐世保市出身の72歳。「ドブ板通り商店街振興組合」の役員も務められている。

――― 川瀬さんは佐世保のご出身とのことですが、横須賀の地で商売を始めたキッカケをうかがえますでしょうか。

川瀬さん:もう40年以上前かな、高校時代の同級生が横須賀で飲食店を経営していた縁で、遊びがてら1週間ほど滞在する機会があったのです。「とても面白い街だな」と思って、すぐに店をやる場所を探しました。

――― 私は佐世保に旅行で訪れたことがあるのですが、横須賀と雰囲気が似ていると感じました。

川瀬さん:そうそう、そっくりでしょう。海と山の距離が近くて、米軍と自衛隊の基地があって。故郷と似ていたことも、横須賀に惹かれた一因だと思います。

――― 日本人向けではなく、外国人向けのバーを開店したのは。

川瀬さん:結論から言うと、私はアメリカが大好きなのです。横須賀に移り住む以前から仕事でアメリカに行くことが多く、どこでどういった商売がおこなわれているのか、なにが流行しているのかを調べに、ロサンゼルスやニューヨークなど様々な場所に足を運んでいました。

――― 当時から飲食業に就かれていたのですか。

川瀬さん:ふっふ、ソ連のスパイ任務さ。

――― えっ!?

川瀬さん:ジョーダンよ。マイケル・冗談。

――― ジョーダン。

川瀬さん:飲食関係の仕事です。アメリカに行くと、いつも楽しくてね。私が開いたお店は全て、自分が現地で体験したものを、そっくり再現しているだけです。

――― 本場のままのアメリカンスタイルを。

川瀬さん:日本とアメリカの文化って、合うと思うのです。戦争で負けたからという意味ではなく、異文化を受け入れられる国民性を持っている同士というか、もともと親和性が高い。日本人とアメリカ人の感覚は、根本的に相性が良いと感じています。

――― 「ヨコスカネイビーバーガー」を、お店で取り扱おうと思った理由は何でしょう。

川瀬さん:横須賀が観光面で注目され始めて、どぶ板通りも日本人の人通りが増えましたが、バーは夕方から営業を開始しますから、日中に訪れた観光客の方に「寂しいシャッター通りだな」と思われかねない。そこで休日は昼から開店して、ご当地グルメを販売することにしたのです。

――― どぶ板通りを盛り上げるために。

川瀬さん:ウチの「ヨコスカネイビーバーガー」と「よこすか海軍カレー」は、私の娘が開発を担当しました。・・・それでね、実はパティの詳しいレシピは私も知らないの。

――― えっ!?

川瀬さん:教えてくれないの。「お父さんに教えても、どうせ作らないでしょ!」だって。たはは。

――― わはは。

川瀬さん:ただ、こだわりが詰まっているのは確かです。「もっと簡単に作ればいいじゃない」と言ったら、怒られました。

――― 怒られましたか。

川瀬さん:いやあ、娘にはかなわない。あとはバンズは、私個人としても大好きなベーカリー「カフェ・ド・クルー」さんに発注しています。

――― 「よこすかカレーフェスティバル」にも毎年出展されている、よこすか海軍カレーパンが名物のお店ですね。

川瀬さん:あそこのパンは本当に美味しい。作り手の心が伝わってきます。


▲取材当日は、商店街でハロウィンイベントが開催された日だった。扮装した三浦さんとピース。

――― 近年の横須賀の街に対して、思うことはありますでしょうか。

川瀬さん:市が観光面に力を入れているおかげで、横須賀のイメージは良い方向に向かっていると感じます。サブカルチャーをはじめ多様な文化とコラボレーションして街を盛り上げていくのも、今の時代に即しているのではないでしょうか。

――― 一方で、どぶ板通り周辺の外国人向けのバーは減り続けていると聞きます。

川瀬さん:米兵さんの外出規制が厳しくなった影響で、かなり苦しい状況に置かれています。昔は朝まで飲むことができたのが、深夜2時までになり、深夜0時までになり、とドンドン短くなっていますから。

――― 迷彩服をまとったMP(米軍憲兵隊)が、毎夜厳しくパトロールもしていますよね。他基地で起きた問題であっても連帯責任を問われますし、見張り側の方を含めて、米兵さんたちも大変だろうなと・・・。

川瀬さん:どうあっても、横須賀は“基地の街”です。地元事業者がベースと手を取り合っていかないと、結局、市内にお金が回らないのも現実です。外国人向けのバーの形のままで、観光客の方も気軽に来てくれるようになれば、理想的なのですけれど。

――― 最後に、今後、お店でやりたいことや目標はありますか。

川瀬さん:私も70歳を過ぎていますから、お店を娘やスタッフたちに任せたいと考えています。KAZUも本当の息子のようなモンだからね。

もう私の古いアイディアなんて、通用しないでしょう。新しい世代が、新しいアイディアで、思うようにやってくれるのが、自分にとっても一番幸せなことです。

【ヨコスカネイビーバーガー特集 まとめ記事】

ご当地グルメ「ヨコスカネイビーバーガー」 全店舗取材レポート まとめ記事

【店舗情報】

RESTAURANT BAR CANTINA(レストランバー カンティーナ)
■住所:神奈川県横須賀市本町2-13
■営業時間
火~土:16:00~24:00
日祝:12:00~21:00
■定休日:月曜(※祝日の場合は翌日)

Country Music Bar George’s(カントリーミュージックバー ジョージズ)
■住所:神奈川県横須賀市本町2-14
■営業時間
月~土:16:00~24:00
日祝:13:00~24:00
■定休日:無休