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【横須賀】アカギの墓碑がある店「ハングリーズ」の黒毛和牛パティにざわめく【ネイビーバーガー】

本記事は、神奈川県横須賀市のご当地グルメ「YOKOSUKA NAVY BURGER(ヨコスカネイビーバーガー)」を提供している飲食店をレポートするシリーズ記事。

今回は、京急線汐入駅に隣接する複合施設「ベイスクエアよこすか二番館」の2Fに店を構える「Hungry’s(ハングリーズ)」!

同店の前身は、先代オーナーが1980年代前半より、京急横須賀中央駅前にあるシティホテル「ホテルセントラーザ横須賀(※現・横須賀セントラルホテル)」の地下1Fで営業していたという、洋食レストラン「HUNGRY BOY(ハングリーボーイ)」。

もともとは2号店だった現在の店舗と統合する形で移転したのち、2000年代後半に現オーナーシェフの飯島弘隆さんが経営を引き継いだとのこと。

都合約40年、横須賀の中心街で営業を続ける老舗店である...!

入口の扉を引いて、店内へと足を踏み入れると。

へっ・・・?

人形・・・?

道路工事の・・・交通誘導で使われるアレだ・・・

なぜ、こんなところに・・・

うっ・・・!?

気配っ・・・!

感じる、異形の気配っ・・・!

背後になにかっ・・・“とてつもないもの”っ・・・!!

神域とか聖域とか・・・そういった類の・・・“なにか”がっ・・・!!

在るぜっ・・・ぬるりとっ・・・!!!

ざわっ・・・

エントランススペースには、福本伸行氏による麻雀漫画『天 〜天和通りの快男児〜』の作中に登場する、「赤木しげるの墓碑」が設置されている。

TVドラマ化もされた『アカギ 〜闇に降り立った天才〜』の主人公として知られるキャラクター、伝説の天才雀士・赤木しげるであるが、そもそも『アカギ』は『天』での赤木の人気の高さを受けて、スピンオフとして誕生した派生作品。

そして『天』でも物語終盤は、主人公である天貴史を差し置いて、・・・どころか麻雀自体を一切やらずに、赤木の死生観をメインに描く内容となっており、最終回のラストシーンも赤木の墓碑で幕を閉じているのだ。

そんな墓碑がっ・・・!

「ハングリーズ」にあるなんてっ・・・!

聖地っ・・・!!

圧倒的聖地っ・・・!!

かくいう筆者も、その最終章を人生のバイブルと仰ぐほど原作の大ファンであり、墓碑を前にして、感極まりすぎて11回ツモった気分だったよ・・・。

墓石は削り取られた歪な形で、麻雀牌やタバコ、缶ビール、栄養ドリンクなどがお供えされ、かたわらに猫が寄り添うという、作中の描写が忠実に再現されている。加えて、墓参りに訪れたファンからの供物もたくさんッ...!

墓碑は同作の出版社である「竹書房」により、2009年に公式制作されたもの。当初は都内のBARに展示されていたが、紆余曲折あって居場所を転々。竹書房が自社内に保管していたところを、福本氏が横須賀市出身という縁もあり、2015年7月17日(金)、ついに「ハングリーズ」に常設展示されることとなったのだ。

なお、福本氏は「よこすかYYのりものフェスタ2017 三大カイジの共演!!」など、横須賀で開催されるイベントに数多く出演されている。

他にも、TVドラマ版の撮影で実際に使用された麻雀卓が展示されていたりと、ファンにとっては涎モノの空間ッ...!

・・・そう、入口前に置かれていた交通誘導ロボットも、『最強伝説 黒沢』に登場する「太郎」なのだ!

『銀と金』の複製原画まであり、この店内展示はもう、狂気の沙汰としか思えないっ・・・!

そこから奥へ進むと、ほど良く外光を取り入れた、カジュアルアメリカンなダイニングスペースが姿をあらわす。

全テーブル席で40席だ。


▲ヨコスカネイビーバーガー¥1200-(税別)

じゃーんッ!! これが「ハングリーズ」の「ヨコスカネイビーバーガー」!!

デフォルトで、フライドポテトとピクルスがセットで付いているッ...!

さっくりと香り良く焼き上げられたバンズは、市内のベーカリーに特注したオリジナル。肉汁とトマト果汁を吸収した際に、口内にもっさりと残ってしまわないような、“軽さ”を意識したレシピにしたそうで、他の具材と渾然一体となってスッと消えてゆく!

そして・・・

ざわっ・・・ ざわっ・・・

マヨネーズと和えたスライスオニオン、輪切りトマト、フレッシュレタスと共に挟み込まれたパティは、なんと、A4・A5等級の国産黒毛和牛の粗挽き肉を使用したもの。奥深い豊かな風味と、上品かつ力強い旨味の快感が、ぐわわ!っと脳髄にまで達するような美味さッ!!

ちくしょうっ・・・舌がざわめきやがるっ・・・!! デリシャスの倍プッシュだっ・・・!!

もちろん、コーラともビールとも相性抜群ッ! ぷはー、キンキンに冷えてやがるっ・・・!

また、スカジャンの発祥地としても知られる名所「どぶ板通り商店街」にある姉妹店「どぶ板食堂Perry(ペリー)」では、やや内容が異なる「ヨコスカネイビーバーガー」を販売している。

2009年4月にオープンした同店は、米海軍横須賀基地(通称“ベース”)の米兵たちも頻繁に訪れるという、BARスタイルのアメリカンレストランだ。


▲ヨコスカネイビーバーガー ポテトセット¥1200-(税別)

こちらのパティは中~粗挽き肉を使用しており、スライスオニオンにもマヨネーズを和えないシンプルな構成。店内の雰囲気も相まって、よりアメリカナイズされた味わいに感じるッ...!

第二次世界大戦後から米海軍を通じて、様々なアメリカ文化が現在進行形で広がっている横須賀にとって、ハンバーガーは歴史的に所縁の深い食べ物であり、「ヨコスカネイビーバーガー」は一介のご当地グルメの枠を超えた、地域文化を色濃く感じられるグルメブランドとして価値が高い。

さらに「ハングリーズ」は“アカギの聖地”として、日本全国のみならず海外からもファンが来訪するため、唯一無二の切り口で「ヨコスカネイビーバーガー」を発信する存在となっている。

自身も横須賀生まれ横須賀育ちだという飯島さんに、街への想いや「赤木しげるの墓碑」の設置経緯などについて話を伺った。


▲飯島さんは横須賀市野比出身の49歳。10代の頃から、どぶ板通り周辺でよく遊んでいたとか。

――― 先代のオーナーさんからお店を継がれたとのことですが、飯島さんは以前から、飲食業に就かれていたのですか。

飯島さん:ホテルサービスの専門学校を卒業後、都内にある「ザ・キャピトルホテル 東急」でコックとして働いていました。

――― 国会議事堂からもほど近い、赤坂エリアの一流ホテルですね。

飯島さん:修行を積んだのち、六本木でランチ限定の黒毛和牛ハンバーグ専門店を営んでいます。

――― 「ヨコスカネイビーバーガー」のパティにも黒毛和牛を使われていますが、その当時から。

飯島さん:「吉澤畜産」をご存知ですか。私はそこの社長と長く交流がありまして。

――― たしか、高級銘柄牛の卸売りをしている。

飯島さん:関東に初めて松坂牛を持ち込んだ老舗で、熟成肉を取り扱う先駆けとなった精肉卸と言われています。「東京食肉市場」に自社専用の保管庫を持っていて、A4・A5等級の松坂牛をはじめとしたブランド牛の、枝肉の熟成もおこなっているんです。

そこで大手百貨店や老舗料亭などに卸すブランド肉を整形する際に出る切れ端の部分を、挽き肉に加工して送ってもらっているのですよ。

――― すごい。独自の仕入れルートを持っていなければ、ハンバーガー用のパティには採用できない最高級肉です。

飯島さん:ステーキやハンバーグに使用する牛肉も、同じく市場から直接仕入れています。


▲「ヨコスカネイビーバーガー」のパティと同様に、A4・A5等級の国産黒毛和牛を使用した「プレミアムハンバーグ」も人気商品。


▲やはり、“つなぎ”無しの牛肉100%で、上質な肉本来の旨味をダイレクトに堪能できる。悪魔的な美味さだっ・・・!!


▲ソースはデミグラス、トマトソース、和風おろしの3種類から選べて、付け合わせは季節がわり。

――― 「赤木しげるの墓碑」が設置されたのは、どういった経緯で。

飯島さん:2014年に「横須賀Sプロジェクト」というサブカルチャーをテーマとしたイベントが開催され、福本先生がシンポジウムに登壇されまして。その時の関係者の打ち上げ会場が、ウチだったのです。

――― なんと。

飯島さん:翌年、墓碑の移設先を探していた先方から「あの時のレストランに置けないだろうか」と市役所経由でお話を頂きまして、快諾しました。

――― 以降、福本先生を招いてのイベントも、お店で開催されていますね。

飯島さん:赤木しげるの命日である9月26日(※作中設定)と、福本先生のお誕生日である12月10日に合わせて、毎年2回開催しています。

――― なんでも、特別なメニューを提供されたとか。

飯島さん:「鷲巣麻雀」の血から着想を得て、黒毛和牛のローストビーフ、牛ほほ肉の赤ワイン煮、ドリンクはブラッドオレンジジュース、といった具合にコースを構成しました。作品を想起させるような料理を揃えて。

――― 実は私も福本作品の大ファンでして、伺えなかったのが無念でなりません。

飯島さん:そうでしたか。今度はぜひ!

――― ああ・・・。無念が「願い」を光らせる・・・!


▲赤木・・・みんな・・・好きなんだ・・・お前が・・・!

――― お店の客層は、どういった方が多いですか。

飯島さん:福本作品のファンは言わずもがなですが、休日は観光客の方がメインですね。逆に平日は、近所のファミリー層や、海上自衛隊の自衛官、防衛大学校の学生など、地元の方たちが中心です。

――― ベースの米兵さんが来られることは。

飯島さん:Officer以上の階級の方が、国産黒毛和牛を目当てに来られることもありますよ。1ポンドを食べて、1ポンドをテイクアウトするような豪快な感じで。アメリカでは、なかなか食べる機会が無いでしょうから。

――― 「ヨコスカネイビーバーガー」を、お店で取り扱おうと思った理由は何でしょう。

飯島さん:私の若い頃は「マクドナルド」や「モスバーガー」などのファストフードチェーン店が、全国的に広まっていませんでした。特に横須賀は、どぶ板通り周辺にアメリカンな本場のハンバーガーを販売する店が何軒もありましたから、我々はそのハンバーガーを食べて育っているのです。

――― ハンバーガーに抱くイメージの原点が、他の街の人々とは違う。

飯島さん:個人的には、今はもう無くなってしまったけれど、「WICHITA(ウィチタ)」というお店によく通っていました。あとはベースの一般開放イベントの際に、基地内でハンバーガーを食べる機会もありました。

ですので、ハンバーガーそのものに対する思い入れが強いというか。「ヨコスカネイビーバーガー」の企画を聞いたとき、地元を盛り上げる手段のひとつとして、横須賀っぽくていいね!、と率直に感じました。


▲「ヨコスカネイビーバーガー」「よこすか海軍カレー」「ヨコスカチェリーチーズケーキ」のご当地グルメ3種類を盛り合わせた、「よこすかグルメプレート」も好評!

――― 近年の横須賀の街に対して、思うことはありますでしょうか。

飯島さん:私と近い世代の方は皆そうだと思いますが、昔は、“横須賀が観光地”という認識は一切持っていませんでした。市が観光面に力を入れ始めた当初も、ピンとはこなくて。

――― 横須賀で取材をすると、そんな話をよく聞きます。

飯島さん:近年、「YOKOSUKA軍港めぐり」のような横須賀ならではのスポットが注目されて、アニメやゲームとのコラボも頻繁におこなわれていますし、“観光立市”の推進は良い方向に向かっていると感じます。

――― 「よこすかカレーフェスティバル」など、グルメイベントにも積極的に参加されていますね。

飯島さん:私も市外から足を運んでくれた方たちに対して、横須賀でしか食べられない、手作りの味を提供していきたいと思っています。

――― 最後に、今後、お店でやりたいことや目標はありますか。

飯島さん:ちょっと話がズレるかもしれませんが、私が飲食の世界に入ったのは、高校生の頃にファミリーレストランでアルバイトをしたことがキッカケなのです。まだファミレスが新鮮だった時代で、そこで働くうちに飲食業の面白さに魅かれたんですね。

最近は飲食業がちょっと敬遠される、好まれない職種になっている風潮があります。若い世代にこの仕事の楽しさを伝えながら、次代の料理人を育てられたらいいなと考えています。

追記:2019年2月、「どぶ板通り商店街」に移転。「グリル&カフェ ALFRED(アルフレッド)」との合同営業となった。

【ヨコスカネイビーバーガー特集 まとめ記事】

ご当地グルメ「ヨコスカネイビーバーガー」 全店舗取材レポート まとめ記事

【店舗情報】

Hungry’s(ハングリーズ)
■住所:神奈川県横須賀市本町2-4
■営業時間
平日:11:00~14:00、17:00~21:30(L.O)
土日祝:11:00~15:00、17:00~21:30(L.O)
■定休日:不定休
■公式Twitter:https://twitter.com/hungrys_ysuka

どぶ板食堂Perry(ペリー)
■住所:神奈川県横須賀市本町2-19
■営業時間:11:00~24:00
■定休日:無休
■公式Facebook:https://goo.gl/q26ypA