【秋葉原】BL本棚に岩下の新生姜コラボ!ネットカフェ「和スタイルカフェ」が歩む独自路線

平成の30年間で、インターネットは我々の生活に欠かせないものとなった。「インターネットカフェ」もまた、従来の「漫画喫茶」のサービスを有した複合アミューズメント施設として、今やすっかり一般に認知されている。ちょっとした休憩に、終電を逃した際の始発待ちの時間つぶしにと、頻繁に足を運んでいる方も少なくないだろう。最近ではカラオケブースやビリヤード場などを備えた大型店舗まで登場しており、ますます形態が多様化している。

日本の“趣都”こと秋葉原にも、独自路線を走り続ける1軒のインターネットカフェがある。2005年11月11日(金)にオープンした、「和style.cafe(ナゴミスタイルカフェ) AKIBA」だ。

「和(なごみ)」と冠する同店がテーマに掲げているのは、「癒しと寛ぎ」を提供する空間。

京都の旅館をイメージした趣ある店内には、上質で静穏な時間が流れており、ここが秋葉原であることを忘れてしまいそうなほど。

スタッフは全員が女性で、袴姿の可憐な和装で統一。「和茶屋娘」として、オリジナル楽曲の発表やメディア出演などを通した広報活動もおこなっている。

シングル席とペア席を合わせて全53室、収容人数は約80人。

各室PCでオンラインゲームや動画配信サービスが楽しめるのはもちろん、コミックスと漫画雑誌も、新刊を含めて計25000冊という豊富な取り揃えだ。

中でも秘かな名所となっているのが、BL(ボーイズラブ)ジャンルに特化した専門本コーナー、通称“BL棚”である。

「在庫はいつでも、801(やおい)冊以上をキープしています!」とのこと。

フリードリンク用のディスペンサーには、タッチパネル式の最新機種を導入済み。2種類のフレーバーを組み合わせた、ミックスドリンクを楽しむことが可能!

フードは約100種類のメニューと並行して、1時間利用+料理1品がセットになった、ランチパック(※全日11:00~14:00)も実施している。

飲食物の持ち込みが自由なため、おかずだけを持参してレンチンして、メインの料理と一緒にいただく、なんて裏技もできちゃう。

そんな利用の仕方は少し気が引ける、と思いきや、お店的にはむしろ大歓迎だそうだ...!

さらに、駄菓子やカップ麺、衣類や記録メディアの販売。

各種充電器のレンタル、荷物の一時預かり、アメニティ完備のシャワー室ほか、長時間利用に適したサービスを網羅している。

「コミックマーケット」のような大型イベントが目的で上京した際には、ここを拠点に秋葉原観光、という選択肢も大いにアリではないだろうか。

また、フロント脇のエントランススペースに、「岩下の新生姜」の公式ショップが内設されている点も大きな特徴。

栃木県栃木市にある「岩下の新生姜ミュージアム」のみで取り扱っているオリジナルグッズを、24時間年中無休で購入できる。

昨年3月には、総来店客数が100万人を突破した「和スタイルカフェ」。チェーン展開をしておらず、秋葉原の同店1店舗しか存在しない“地域に根付いたインターネットカフェ”であることも、その個性を際立たせている印象だ。

開店の経緯や“BL棚”の誕生秘話などについて、店長の長谷晋吾さんと、「和茶屋娘」リーダーで副店長を任されている椿さんの両人に話を伺った。


▲長谷さん(※画像はイメージです)は神奈川県鎌倉市出身の38歳。「合同会社AKIBA観光協議会」の執行役員も務められている。

――― まずは、「和スタイルカフェ」開店までの経緯を教えていただけますでしょうか。

長谷さん:私は20代前半の頃に、音楽CDや書籍を複合的に取り扱う企業に入社して、宮城県で勤務していました。ですが1年足らずで、鎌倉に帰りたくなってしまって。

――― ご出身地の。

長谷さん:たしか秋山さんは、横浜市のご出身でしたよね。

――― 中学と高校は、鎌倉にある学校に通っていました。

長谷さん:えっ、ウソ!?

――― ○○学園です。

長谷さん:うわうわ。私は○○高校!

――― よく部活で由比ヶ浜までランニングをしたり。

長谷さん:めちゃくちゃ近所!

――― ですね!

長谷さん:実家は○○ですよ。

――― マジですか。1駅となりだ!

長谷さん:昔は○○駅前に、○○書店とかがあって!

――― あったあった!

長谷さん:でも○○学園だと、観光シーズンの通学が大変だったでしょう。

――― そうなんですよ。あそこの歩道も狭いし。

長谷さん:鎌倉あるあるだよね!

――― 初詣は「鶴岡八幡宮」へ!

長谷さん:「鳩サブレー」はおいしい!

――― 黄色い缶は小物入れにぴったりだぞ!

椿さん:あのう、開店の経緯は・・・?


▲椿さんは店内装飾をはじめ、「和茶屋娘」の楽曲制作なども手掛けている。趣味はカメラ。

長谷さん:宮城時代に、ちょくちょく商品の盗難被害に遭っていたんです。

――― CDを1枚盗まれると、10枚ぶんの利益が飛ぶと聞きます。

長谷さん:それに嫌気が差したこともあり、今度は販売事業ではなく、“空間の事業”がしたいと思って、インターネットカフェの開店に至りました。

――― なぜ、秋葉原で。

長谷さん:許容性がある、新しいチャレンジができる街だと感じたからです。2005年はちょうどアキバ文化ブームの真っ只中で、人の流れにも変化が起きそうだと期待して。

――― 人の流れ、というと。

長谷さん:まだまだ当時は20時以降になると、営業している店舗が非常に少なく、中央通りですら閑散としていました。それがこの先、観光地としての側面が強くなれば、24時間営業のインターネットカフェにも需要が出てくるはず。

――― なるほど。

長谷さん:「隠れ家的なお店」というコンセプトもあったので、中心街の喧騒から一歩離れた、この場所を選びました。


▲中央通り沿い、地下鉄銀座線・末広町駅前に建つビルB1Fに「和スタイルカフェ」はある。

――― お店作りのこだわりや、心がけていることはありますか。

椿さん:アメニティの充実を図ったり、女性が1人でも安心して来れるインターネットカフェであるように、店内環境には特に気を配っています。働いている身としても、自分自身が入りたいと思えるお店じゃないと、気分が良くないですし。

――― 女性やカップルの来店率も高いそうですね。

長谷さん:現在の形に落ち着くまでには、様々な試行錯誤がありました。開店当初はオープン席を設けていたり、スタッフもメイド喫茶のようにキャストネームをつけたりせず、表に出ていなかったり。

――― 「和茶屋娘」として活動を開始したキッカケは。

椿さん:“なごみの7”だった7周年記念で、「和スタイルカフェ」のテーマソングを作ったのが最初です。

――― 2012年に。

椿さん:もともとは、その1回きりで終了する予定のユニットでしたが、音楽大好きマンの店長が「アルバムを出そうよ!」と。

――― 楽曲制作がスタートだった。

椿さん:スタッフの入れ替わりが激しかった時期でもあり、心機一転、新しい試みを始めてみようと思いました。

その後、秋葉原で開催されるステージイベントに出演したり、メイドさんが大集合するフェスに参加したり。「頑張るところが違うぞ」と、ネット上でツッコミを受けたりもしましたが。

――― 効果的な宣伝だと思います。

長谷さん:同時に、各スタッフの得意分野・特技を活かして実現したいことを、どんどん推し進めるようにしました。ノリと勢いを大事にして、「閃いたアイディアは全部実行しよう!」みたいな。

――― BLコーナーも、それが具現化したものでしょうか。

椿さん:スタッフの中に数名、わりと重度の“スタッ腐”がおりまして。

――― スタッ腐。

椿さん:「宙出版」が毎年1回刊行している、各界のBL好きがその年の「一番やばい!」と思うBLを選ぶ、BL作品のガイド本『このBLがやばい!』の座談会企画に参加していたり。

――― す、すごくやばそうです。

椿さん:BL関連でのメディア露出が増えていくうちに、ある日突然、スタッ腐が「この棚をつぶしましょう!」って。

それまで一般の漫画本を置いていた棚が、突如としてBL本の専用棚になりました。

――― なんと。

椿さん:そのうち「棚が足りないんだけど!もう入りきらないよ!新刊を置くスペースが無いの!」と言い始めて、じわじわと他の棚への浸食が進んだ結果、ご覧の有様です。


▲ご覧の有様です。

――― 仕入れる作品のチョイスは、どのように。

椿さん:基本的に、スタッ腐の独断と偏見です。

――― わはは。

長谷さん:私は「BL」が何なのかも知らなかったんです。だから買い出しについて行った時には、ビックリしました。

椿さん:ついて行くの!?と思いましたが、黙っていました。うふ。

――― 私もBLに関する知識はゼロですが、同じようにBL好きなお客さんには、本気度が伝わっているのでは。

長谷さん:そうですね。経験上、1人1人が熱意をもって取り組んだ仕事でないと、やはり本当にいいものは出来ないと感じています。

「岩下の新生姜」とのコラボレーションにしても、スタッフの「岩下の新生姜が大好きだから」という純粋な想いから始まりました。

――― 本家の「岩下の新生姜ミュージアム」を除けば国内唯一の、公式ショップが内設されていますね。

長谷さん:かねてより「岩下の新生姜」の大ファンだったスタッフが、SNSで「岩下の新生姜おいしい♪」と何度か投稿をしていたら、岩下社長(※「岩下食品株式会社」代表取締役の岩下和了氏)が「いつかお店に行きます!」と直接反応を下さいまして。

――― まさかの。

長谷さん:そこから色々とお付き合いをさせて頂いており、2016年に開催したコラボカフェイベントが契機となって、イベント終了の約2ヶ月後に公式ショップも常設する運びとなりました。


▲2016年3月~6月に開催されたコラボカフェイベント「岩下の新生姜ミュージアム in 秋葉原」の様子。

長谷さん:個人的にもスタッフのおかげで、未知の世界を覗けたり、あらためて「岩下の新生姜」の魅力に気付けたりと、知見が広がる機会が多いです。

――― 好きなことに突っ走る姿勢は、とても“アキバのお店”らしいなと。

長谷さん:どうなんでしょう、うまく街に馴染めているか不安ですが・・・。

ただ、活動の幅を広げるほどに、秋葉原の街を盛り上げる力になりたい、街をより一層面白くしたい、という気持ちを強く持ちました。

――― イベントへの出展、「AKIBA観光協議会」への参加など、対外的な活動にも積極的です。

長谷さん:同時に横の繋がりができて、実現できる枠も広がって。秋葉原の街全体を使った、みんなで楽しめるイベントが増やせたらいいなと思っています。

――― 今後、お店をどのように発展させていきたいですか。

長谷さん:サポートしているロックバンド「avengers in sci-fi(アヴェンジャーズ・イン・サイファイ)」のCDを、もっと売り込んでいきたいです。

――― えっ。

長谷さん:メンバーが高校の同級生なんですよ。ライブにも人を呼び込みたい!

――― そこは「和茶屋娘」を推すところでは。

椿さん:そんな扱いをされています。

長谷さん:「岩下の新生姜」の魅力も、もっと大勢の人に伝えたい!

椿さん:あっ、最近また新生姜の香りのハンドクリームとか、攻めた商品を出していて。素敵な香りですよ!

長谷さん:あとは、一緒に働ける方を募集しています。

――― 求人!?

長谷さん:映像編集が得意な方とか・・・。

椿さん:新しい才能を求めています。

なんだか脱線した話を重ねてしまったが、インタビューは終始笑いが絶えず、和気藹々とした雰囲気のまま締めくくられた。長谷さんは「スタッフ全員が働きやすい快適な職場を作ることも、常に大事にしています」と語っており、その姿勢と人柄が、お店の空気感にも自然な形で反映されているのだろう。

インターネットが我々の生活に欠かせない時代だから、行きつけの飲食店と同じように、行きつけのインターネットカフェを1軒持つという発想だって、けして突飛ではあるまい。きっと心の休息地として機能してくれる。

筆者は秋葉原のはずれに、そんな“いつものオアシス”にぴったりな、和やかなスタイルのインターネットカフェを見つけた。

【店舗情報】

和style.cafe(ナゴミスタイルカフェ) AKIBA
■住所:東京都千代田区外神田6-14-2 サカイ末広ビルB1F
■営業時間:24時間営業
■定休日:年中無休
■公式サイト:https://nagomi-cafe.com/
■公式Twitter:https://twitter.com/nagomistylecafe
■公式Facebook:https://www.facebook.com/nagomicafe/
■公式Instagram:https://www.instagram.com/nagomistylecafe/

ABOUTこの記事をかいた人

「シグナル・ロッソ。」の中の人。役者/ライター。「AKIBA観光協議会」公認ライター。ピン芸でお笑いLIVEにも出演。食べ歩いた飲食店は4000軒以上。20年来の大競馬ファン。

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