前々回の第1弾、前回の第2弾に続き、筆者の愛する作品、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』第4部に登場するトニオさんの料理を再現してみた。
“トニオさん”ことトニオ・トラサルディーとは、コミックス第33巻に登場するイタリア料理人スタンド使いの名前。その作中で主人公達に提供していたイタリア料理を、実際に再現してみようという企画の最終回・第3弾である。
ルールは2つ、「アレンジは加えず、出来うる限り原作通りの設定で作ること」「調理場に入ル前に石ケンで手を洗うこと」。
今回再現するのは、第二皿目(セコンド・ピアット)のメインディッシュ料理『小羊背肉のリンゴソースかけ』。
前2回は作中のイラストの下に材料が記載されていたのだが、今回は「味つけは秘密ネ!」とのことで未記載。ラム肉にリンゴソースを合わせるイタリア料理は、食したことも聞いたことも無く、おそらくトニオさんが発明したオリジナル料理と思われる。
作中のイラストのビジュアルと、「リンゴソースの甘ズッパさ」というセリフの2点が、最大の手掛かりだ。
また、トニオさんのポリシーとして「人々の歴史とともに歩んでいる」イタリア古典料理に重きを置いていることと、世界中を旅して習得した様々な地域の手法を祖国イタリア料理にとり入れている、という剛柔自在な料理スタイルからも推測...!
・・・知人のイタリアンシェフ2名に助言を仰ぎつつ、試行錯誤を重ね、試作を繰り返すこと数十回。遂にレシピが完成ッ! ドバァァーン!
イタリア古典料理がベースならば、オーブンなどは使わずに、フライパン1枚のみで作り切れるはずだと想定し、ラツィオ州・ローマ流「Agnello alla Cacciatora(ラム肉の狩人風煮込み)」をベースにすることに。そこに、豚肉をリンゴジュースで煮込む、デンマーク料理の調理法を複合した。
・・・というわけで、全ての食材を用意ッ!
オリーブオイル、白ワイン、白ワインビネガー、塩、砂糖、ケッパーはイタリア製のもので揃えた。
ラム肉にアスパラガスと共に添えてある“尖った葉野菜”は、ハーブをデフォルメして描いたものだと判断。形状が最も近い、イタリア語で“野生のルッコラ”を意味する、セルバチコ(ルッコラ・サルヴァーティコ)を採用!
調理前に、スタンド「パール・ジャム」を発動し、あらかじめ食材に潜入させておく...!
料理皿は、「一番くじ ジョジョの奇妙な冒険 第四部 ダイヤモンドは砕けない ACT2 D賞 トニオさんのパスタ皿」を使用。
▲小羊背肉(ラムラック):3本。
まずは、食材の下準備から。材料は1人前、分量はあくまで目安。
小羊背肉は、背中からあばら骨にかけてのラムラックを3本・約200gを用意。余分な脂身は取り除き、骨まわりを綺麗にする。
▲塩:適量、ペッパー:適量。
脂身から切り込みを入れてスジを切ったら、塩とペッパーを全体に満遍なくすり込む。
▲ローズマリー:適量、タイム:適量、オリーブオイル:適量。
ローズマリー&タイムのハーブ2種類と、オリーブオイルと共にラップをして、冷蔵庫で半日ほど寝かせて旨味を引き出す。
▲ニンニク:1片、ケッパー:12粒、ローズマリー:適量。
ニンニクは、1片分を縦半分に切って中の芽を取り除き、みじん切りにする。ケッパーは、瓶詰の酢漬け(ピクルス)タイプを12粒、軽く酢を切ってから、みじん切りにする。ローズマリーも、1~2枝ぶんの葉をこそぎ取り、みじん切りにする。
▲パセリ(イタリアンパセリ):適量
同じく、イタリアンパセリもみじん切りにして、別の容器に入れておく。
▲リンゴ(中玉):1個、レモン:1/2個。
リンゴは、1個分の皮を剥いて芯とヘタ部分を取り除き、やや小さめに切り分ける。レモンは、1個の半分を使用。
ジューサーでジュースにする際は、リンゴの酸化酵素による変色をビタミンCで防ぐ目的で、先にレモンから絞ること。
どれ味もみておこう。
なんつーか気品に満ちたリンゴジュースっつーか、たとえるとアルプスのハープを弾くお姫様が飲むような味っつーか、スゲーさわやかなんだよ・・・。3日間砂漠をうろついて初めて飲むリンゴジュースっつーかよぉーっ! プハーーーッ!
▲アスパラガス:5本、セルバチコ:適量。
アスパラガスは、柔らかい穂先の部分だけを使用、水洗いして5本分をカットする。セルバチコは水洗いして、水気を切っておく。
これで食材の下準備は完了だ。
下ごしらえのマリネオイルを拭き取ったラム肉を、中火で熱したフライパンで、油をひかずに焼く。
両面にこんがりと焼き色を付け、肉汁を閉じ込める。
羊肉は脂にクセがあるため、焼き上がったら一旦別皿に移して、脂身から出た余分な脂をキッチンペーパーなどで吸い取る。
▲オリーブオイル:適量。
再びフライパンを熱して、薄くオリーブオイルを引き、ニンニクとローズマリーを投入。
▲小麦粉:適量。
すぐに別皿に移しておいたラム肉を戻し入れ、小麦粉をひとつまみ振り入れる。ニンニクが焦げ付かぬよう、この間15秒弱のスピード勝負だ。
▲白ワイン:50ml。
白ワインを投入して、超強火にしてアルコール分を飛ばす。
▲砂糖(ブラウンシュガー):小さじ1、白ワインビネガー:小さじ1(5cc)。
白ワインのアルコール分が飛んだら火を弱めて、リンゴジュース100ml、ケッパー、砂糖、白ワインビネガーを入れる。
フライパンに蓋をして、超弱火で約20分間、じっくりと煮込む。
激しい「強火」はいらない・・・、「植物の心」のようなトロ火を・・・、そんな「平穏な火加減」こそわたしの目標。
はい!、20分ほどしか・・・かかりませんので・・・はい・・・、済み次第・・・はい・・・すぐ完成・・・、は!・・・失礼します!部長!
10分ほど煮込んだら一旦蓋を開け、ラム肉の表裏をかえす。煮込んでいる間、アスパラガスをオリーブオイルでソテーしておく。
煮込み上がったラム肉を皿に盛り付け、フライパンに残ったソースをかき混ぜながら少し煮詰めた後、全体に回しかける。ソテーしたアスパラガスとセルバチコを添えて、仕上げにイタリアンパセリを散らしたら・・・
『小羊背肉のリンゴソースかけ』、完成ッ!!
うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!! 突然ですがこれは『気合いの雄叫び』ですッ! 「限界」だッ!食うねッ!
ガマンできねえッ!!食わずにはいられねーっ!!
リンゴソースの甘ズッパさと小羊の肉汁がのどを通るタビに幸せを感じるッ!!
こんな味がこの世にあったとはァーーーーッ!!!
バグバグバク!!ムシャムシャ!!ガツガツ!!
幸せだァーーーッ!!!
幸せのくり返しだよぉぉぉぉぉ~~~~~っ!!!
メシッ!ギッ!メッシャアーーッ!!
旨味溢れるジューシーなラム肉に、小麦粉でとろみのついた甘酸っぱいリンゴソースが絡んで、パワフルでいて繊細な芸術的絶品だッ!! スタンドも月までぶっ飛ぶこのハーモニー!!
あっ!こりゃたまらん!ヨダレずびっ!、ツゥ~よーな味だぜェ~~っ!!
フォークとナイフ~~?、ケッ!おれは不良だよ・・・!、手掴みで食うぜえーーーッ!!!
最後にひとつだけ言える事を見つけたよ。「美味さ」の輝きの中にあるという『黄金の精神』を・・・、トニオさんの料理の中に見たよ・・・!
フフフ、第二皿目の『小羊背肉のリンゴソースかけ』は成功のようだな・・・。〆のセリフはもちろん・・・
ンまあーーいっ!! ブゲ!
【第1弾 モッツァレッラチーズとトマトのサラダ編】
■トニオさんのイタリア料理を再現してみた・改 前菜(アンティパスト):『モッツァレッラチーズとトマトのサラダ』
【第2弾 娼婦風スパゲティー編】
■トニオさんのイタリア料理を再現してみた・改 第一の皿(プリモ・ピアット):『娼婦風スパゲティー』
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